「大学教員って意外と不安定だな」
「研究費削減が続いて、やりたい研究ができず楽しくない」
任期制のプレッシャー、減っていく研究費、なかなか上がらない給与。かつて憧れたアカデミックな世界も、現実は厳しいことが多いよね。
そんな現状から、転職を考える大学教員も増えてきている。
この記事では、大学教員の具体的な転職先、成功させるための5ステップ、そして転職以外の選択肢まで、僕が徹底的に解説していく。
最後まで読めば、大学教員退職後のキャリア選択が見えてくるだろう。
大学教員が転職を考える理由
大学教員が転職をしたいと考える背景には、大学特有のシステムの問題があるんだ。
任期制による将来への不安
まず大きいのが、雇用の不安定さ。特に若手の大学教員にとっては深刻な問題だね。
多くの大学で導入されている5年任期。これは、5年後には職を失う可能性があることを意味するんだ。もちろん再任の道もあるけれど、更新なしと通告されるケースも少なくない。
30代後半や40代に差し掛かり、家族もいる中で、数年ごとに雇用の心配をしなければならないのは、精神的にかなりの負担になる。
安定したキャリアプランを描きにくい状況が、多くの大学教員を転職へと向かわせる大きな要因の一つなんだね。
研究環境の悪化とストレス
次に、研究活動そのものを取り巻く環境の問題。
年々削減される運営費交付金の影響で、自由に使える研究費はどんどん減っているのが現実。
満足のいく研究がしたくても、資金不足で諦めざるを得ないことも多い。それに加えて、大学特有の人間関係や派閥争いに疲弊してしまう人もいるんだ。
本来は研究に集中したいのに、学内政治にエネルギーを割かなければならない。過度な成果へのプレッシャーも相まって、大きなストレスを感じている教員は少なくないんだよ。
給与・待遇面での不満
任期制教員の場合、給与がなかなか上がらないどころか、更新のタイミングで下がることさえある。さらに昇進の機会は限られているのが実情なんだ。
同年代の民間企業で働く友人と比べて、待遇面で見劣りしてしまうことも。
博士号まで取得し、長年研究に打ち込んできた努力が必ずしも経済的な安定に結びつかない。この現実に不満を感じ、より良い待遇を求めて転職を考えるのはごく自然なことだと言えるね。
大学教員から転職するメリット
転職には不安も伴うけど、その先には新しい可能性が広がっている。大学の外に出ることで得られるメリットもたくさんあるんだ。
雇用の安定性が向上する
任期満了の心配がなくなり、長期的な視点でキャリアとライフプランを設計できるようになる。これは、精神的に安定するよ。
もちろん、解雇や倒産のリスクはある。でも、助教授や講師の立場よりも将来の見通しは立てやすい。安定した仕事があることは、仕事も生活もより一層集中するために不可欠だ。
それに、解雇のリスクヘッジとして副業を始めるのも手。
収入への不安が強い人は、収入源を複数作ることでメンタルが安定するよ。
年収が上がる可能性がある
あくまで可能性の話しだが、大手企業の研究職やコンサルティング業界では、大学教員時代よりも高い年収を得られるケースもある。
成果が正当に評価され、給与や役職に反映される環境は、仕事への意欲を高める要因になる。
たとえ1年目の年収が下がったとしても、継続することで業界を理解し活躍すれば、収入アップも現実的だ。
ワークライフバランスが改善される
休日や深夜まで研究するのが当たり前という環境から、勤務時間と休日が明確に区切られた職場へ移れる可能性がある。
これは、事前に自分の理想的な労働形態を明確にしたうえで、転職先を選ぶ必要がある。プライベートの時間を確保しやすくなることは、心身の健康にとって大きなメリットだと言えるね。
大学教員から転職するデメリット
転職には良い面ばかりではない。決断する前に、デメリットもしっかりと理解しておく必要がある。
研究の自由度が低下する
企業の研究は、事業の利益に貢献することが目的だ。そのため、自分の知的好奇心だけを追求して研究テーマを自由に選ぶことは難しくなる。
純粋な学術探求に重きを置く人にとっては、物足りなさを感じるかもしれない。
アカデミックキャリアが途絶える
一度民間企業へ転職すると、再び大学に戻ることは非常に難しいのが現実だ。将来的に教授職を目指す気持ちが少しでもある場合は、そのキャリアパスが途絶えることを覚悟する必要がある。
年収が下がるリスクがある
転職先の業界や職種によっては、年収が下がってしまう可能性もある。特に、大学での経験が直接的には評価されにくい未経験の分野に挑戦する場合、このリスクを考慮しておく必要があるんだ。
転職を避けるべきケース
ここまで転職について話してきたけど、誰もが転職すべきだとは思わない。大学に残る方が良い結果につながるケースも当然あるんだ。
研究に対して強い情熱を持っている
待遇や人間関係に多少の不満があっても、研究活動そのものに強い情熱を持っているなら、安易に転職すべきではない。大学にある研究の自由は、企業にはないよ。
パーマネント職を獲得できる可能性が高い
終身在職権の獲得が目前に迫っているなど、安定した職を得られる可能性が高い状況なら、今の職務を継続する価値は十分にある。短期的な不安だけでなく、長期的な視点でキャリアを判断することが大切だよ。
家族の同意が得られない
転職は、家族がいる場合、収入の変化や転居の可能性について、事前にしっかりと話し合い、納得してもらうことが不可欠だ。周囲の協力なしに、新しい環境へ挑戦するのは難しいだろう。
大学教員の転職成功の可能性は?
「でも、大学しか知らない自分に転職なんてうまくいくのか?」
そう思う気持ちもわかる。だけど、実際のデータや市場価値を見てみると、可能性は十分にあるんだ。
大学教員の転職実態データ
まず、具体的なデータを見てみよう。文部科学省の学校教員統計調査(令和4年度)によると、大学教員の離職者のうち、実に34.4%が「転職」を理由に職を離れているんだ。これは他の理由を抑えて最も多い数字。つまり、多くの教員が次のキャリアを求めて実際に動いているということだね。
特に、年齢別の離職者構成を見ると、35歳から40歳未満の年代が14.9%を占めており、これは65歳以上(32.2%)を除くと最も高い割合となっている。この年代は、キャリアの方向性を見定め、新たな挑戦に踏み出す人が多いことを示しているのかもしれない。
実際、令和3年度間で4,656人の大学教員が転職を理由に離職しており、あなたが転職という選択肢を考えているのは、決して珍しいことじゃないんだよ。
出典: 文部科学省「令和4年度学校教員統計調査 結果の概要(確定値)」
博士号取得者の市場価値
結論から言うと、博士号は、民間企業でしっかり評価される。「学歴が高すぎて使いにくい」なんて話もあったけど、それはもはや過去の話だ。
経団連の調査(2024年)では、今後博士人材の採用を減らすと答えた企業は0%だった一方、理系博士人材の採用を増やす方針の企業は約18-20%存在している。
さらに注目すべきは、企業の95%が博士人材を「イノベーション創出に必要な資質・能力・専門性を有している」と評価していることだ。特に医薬品や化学、ITといった分野では、高度な専門知識を持つ博士人材が事業の核として求められている。
企業が博士人材に期待するスキルとして、
「研究遂行能力」(74%)
「データ分析能力」(64%)
が上位に挙げられている。
研究で培ったスキルは、コンサルティングや金融など、幅広い業界で通用する。あなたの博士号は、間違いなく強力な専門性の証明になるんだ。
出典: 経団連「博士人材と女性理工系人材の育成・活躍に関するアンケート結果」(2024年2月)
大学教員におすすめの転職先
あなたの専門知識や研究スキルは、大学の外でも大いに役立つ。ここでは、具体的な転職先をいくつか紹介するよ。
教育関連企業(EdTech・塾・予備校)
教育への情熱があるなら、教育関連企業も有力な選択肢だ。最近急成長しているEdTech(教育×テクノロジー)分野では、あなたの知見を活かして新しい教材や学習プラットフォームを開発できる
また、塾や予備校の講師として、専門分野を分かりやすく教える仕事も需要が高い。
特に大学受験レベルの高度な内容を教えられる人材は貴重なんだ。オンライン家庭教師のような、働き方の自由度が高い選択肢も増えている。
大学で培った高度な専門知識を学生に教えるスキルを、新しいステージで輝かせていこう。
民間企業の研究職・開発職
これは最もイメージしやすいキャリアパスかもしれないね。製薬、化学、IT、自動車メーカーなど、多くの企業が自社の研究所で高度な専門性を持つ人材を求めているんだ。
大学での研究経験を直接活かせるだけでなく、企業ならではの豊富な資金や設備を使って、製品化やサービス化という明確なゴールを目指せるのは大きな魅力。
年収水準も大学より高いケースが多く、成果次第ではスピーディーな昇進も期待できる。自身の研究が社会にどう貢献するかを、よりダイレクトに感じられる職場だよ。
国際機関・地方自治体
あなたの専門知識と視点は、国際機関や地方自治体で社会貢献に直結する。
国際機関では、特定の分野(環境、保健、教育など)の専門家として、グローバルな課題解決に貢献できるんだ。
企画立案、調査研究、政策提言など、大学での経験がそのまま活かせる場面も多いよ。
また、地方自治体では、地域の活性化や課題解決に向けて、専門知識を活かした政策立案やコンサルティング、地域教育に携わることができる。
これまでの研究が社会に還元される喜びを、より強く感じられるフィールドだね。
データサイエンティスト/AIエンジニア
これは、今の転職市場で最も需要が高い職種の一つ。
統計学的な素養、プログラミングスキル、そして膨大なデータから意味のある知見を抽出する能力。これらはまさに、多くの理系研究者が日常的に行っていることそのものなんだ。
特に、物理学、数学、情報科学、生物統計学などのバックグラウンドを持つ人は、即戦力として高く評価される可能性が十分にある。
後ほどこの分野への転職成功事例を紹介しよう。
専門分野の特化ライター
文章を書くことが得意な大学教員にとって、特化ライターは魅力的な選択肢になる。
自分の専門分野に特化した記事や論文、書籍を執筆する仕事だよ。学術的な知見を一般の人にも分かりやすく伝えるスキルは、企業のオウンドメディアや専門雑誌、Webメディアなどで非常に重宝されるんだ。
もちろん、単価も上がる。
専門知識を活かしながら、時間や場所に縛られずに働ける自由度の高さも魅力の一つだね。
大学教員の転職活動|成功させるための具体的手順
さて、ここからは転職を成功させるための具体的なアクションプランを解説していくよ。準備が9割、しっかりついてきてね。
転職活動のタイミングと期間
大学教員の転職活動は、スケジュール管理が重要だ。
講義や学会が立て込む時期を避け、比較的余裕のある夏休みや春休み期間を準備に充てるのが効率的。
特に任期が決まっている場合は、任期終了の1年〜1年半前には活動を開始するのが理想。良い求人はいつ出てくるかわからないし、選考プロセスには数ヶ月かかることも珍しくないからね。
在職中に転職活動を進めることで、収入の心配なく、心に余裕を持って自分に合う企業をじっくり探せるという大きなメリットがあるんだ。
転職エージェント・転職サイトの選び方
一人で転職活動を進めるのは大変。プロの力を借りるのが賢い選択だよ。
特におすすめなのが、あなたの専門分野や教育業界に特化した転職エージェント。大学のキャリアを理解した上で、最適な求人を紹介してくれる。
研究職専門の転職サービスも、非公開求人を含めて多くの選択肢を提供してくれるだろう。もちろん、幅広い業界をカバーする総合型のエージェントに登録して、自分の市場価値を多角的に探ってみるのも有効だ。
複数のサービスをうまく使い分けるのが成功のコツだね。
書類・面接対策のポイント
大学での研究業績を、民間企業の人事担当者に響くように翻訳する作業が何より重要なんだ。
職務経歴書では、単に論文リストを並べるのではなく、「その研究を通じてどんな課題をどう解決し、どんなスキルが身についたのか」を具体的に記述しよう。
面接では、専門的な内容を誰にでも分かるように説明する能力が試される。「なぜうちの会社なのか」「あなたの専門性をどう活かせるのか」という質問に、自信を持って答えられるように、企業の事業内容を徹底的にリサーチしておくことが大切だよ。
大学教員転職の成功事例|実際の転職体験談
大学で培った専門知識や研究スキルを活かして、民間企業で大活躍している先生方はたくさんいるんだ。
ここでは、実際に大学教員を辞めて民間企業に転職した3人の事例を紹介しよう。
大学教員からデータサイエンティストへのキャリアチェンジ
Cholさんは、国立大学で5年任期の助教をされていたんだけど、37歳で不安定な職への不安、そして家族の将来を考え、転職を決意したんだ。大学でのポジションの少なさや、研究へのモチベーション低下も大きな要因だったそうだよ。
転職先は、これまでの専門とは異なるヘルスケア系のベンチャー企業で、データサイエンティストとして活躍しているんだ。自身の経験や技術が高く評価され、好条件で迎えられたとのこと。
この事例は、大学教員としての専門知識や研究スキルが、異分野の民間企業でも十分に通用し、新たなキャリアを切り開けることを示しているんだね。家族の安心という大きな喜びも得られた、素晴らしい成功事例だ。
note「大学教員やめてデータサイエンティストになります」
植物細胞生物学専門家が教育コンテンツ開発へ
noteに掲載されているアカリクの浅岡さんの事例を紹介するね。浅岡さんは植物細胞生物学の博士号取得後、大学で10年キャリアを積んだ後にベンチャー企業へ転職したんだ。
子育てと両立できる働き方を求め、自身の専門性を応用できる場として民間企業に注目。特にアカリクの「知恵の流通の最適化」という理念に共感し、入社を決めたそうだよ。
現在は、大学での教育・キャリア支援の経験を活かし、キャリア教育コンテンツの開発や産学官連携プロジェクトの運営支援を行っているんだ。
大学での経験や知識は、民間企業でも十分に活かせるんだね。この事例から、大学教員としての専門性と経験が、民間企業で新たな価値を生み出す可能性がわかるんだ。
note【入社エントリー#3】大学教員から渋谷のベンチャー企業に転職してみた
大学教授の定年退職後:ベンチャー企業への再就職事例
最後に定年退職後に転職した大学教授の例を紹介しよう。筑波大学の原田悦子先生の事例だ。
先生はまだ働きたいという強い意欲と、変わり続けるという信念を胸に、なんとベンチャー企業へ再就職を決めたんだ。その選択基準は、とてもシンプルでおもしろいかどうか。亡くなったご主人の「他の人と違うことした方が絶対おもしろいよ」という言葉が、常に彼女の背中を押し続けてきたんだね。
人にキャリアを決められるのを待つんじゃなく、自ら変えていく挑戦を続ける原田先生。その姿は、年齢に関係なく、自分の意志で新しいキャリアを切り開けるっていう力強いメッセージを僕たちにくれる。
これからのキャリアを考える上で、大きな勇気をもらえる成功事例だよね。
大学教員を続けながらできる転職以外の選択肢
転職だけが道じゃない。今の立場を維持しながら、状況を改善する方法もあるんだ。
他大学への移籍
もし現在の大学の環境や待遇に不満があるなら、より良い条件の大学を探して移籍するのも一考の価値がある。
公募情報をこまめにチェックし、自分の専門分野に合うポストを探してみよう。国公立から私立へ、あるいは地方から都市部へ移ることで、研究環境や給与が大きく改善されるケースもある。
海外の大学に挑戦し、グローバルな環境に身を置く選択肢も視野に入れてみてはどうだろうか。
起業・副業による収入多様化
大学教員という安定した身分を維持しながら、収入源を増やす副業も現実的な選択肢だ。専門知識を活かして企業と共同研究を行ったり、技術顧問やコンサルティング業務を請け負ったりすることができる。
また、専門書を執筆したり、講演活動を行ったりすることも可能だ。
副業を通じて民間企業との接点ができれば、将来的な転職の足がかりになる可能性もある。
副業が軌道に乗れば、大学を辞める選択肢も現実的になるよね。
まとめ
さて、ここまで大学教員の転職について様々な角度から話してきたけど、どうだったかな?
将来への不安を抱えながら、毎日を過ごすのは本当につらいことだと思う。でも、忘れないでほしい。あなたには、長年の研究で培った高度な専門性、論理的思考力、そして課題解決能力という、素晴らしい武器があるんだ。
活かし方を知らないだけ。
この記事が、あなたのキャリアの選択肢を広げ、新しい一歩を踏み出すきっかけになったら、僕にとってそれ以上に嬉しいことはないよ。
あなたの未来は、大学の中だけにあるわけじゃない。もっと広い世界が、あなたを待っているんだ。応援しているよ!
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